きみと恋の話をしよう
「せ……先輩はその……えっと、その。……聞きたかったわけではないんですが、聞こえてしまいまして……その告白的な……」


言い訳にすらなっていない。
だけど、私の目には、佐橋先輩の手の中にある今しがた受け取ったであろう封筒が映っている。
つい、聞いてしまったのは、そのせい。

佐橋先輩が困ったように笑った。
ラブレターを持ち上げて見せる。


「たまに、こういうのはもらうけど」


「お付き合いするんですか?」


「いや、断るつもり」


中身も見ずに!?
検討の余地なしってことですか!?

それはあんまりな気もするなぁ。

どこかでほっとしてるくせに、もう一方で断られる女子生徒に同情してしまう。


「お付き合いしてみたらいいんじゃないですか?」


「え?」
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