きみと恋の話をしよう
「いつか恋愛小説を書かれるんでしょう?それなら、妄想じゃなくて実体験も必要なんじゃないですか?」


佐橋先輩がどんな顔をするか見たくて、微妙に意地悪な物言いになってしまった。

なんだろう、まだ胸が変な感じ。
モヤモヤするし、なんか痛い。

佐橋先輩は私の生意気で感じの悪い言葉を聞いてきょとんとしている。


「深山さん、好きじゃない子と付き合える?」


「え?いえ……」


「そう。俺も無理。恋愛小説ばっかり読んでるから、理想が高いのかもしれないけれど、付き合うって状態は、お互い好きで好きでしょうがなくなった男女が選ぶ手段なんだと思うんだよな」


佐橋先輩はいっそ純粋すぎるくらいの瞳で私を見つめている。

私、なんて感じの悪いことを言っちゃったんだろう。

途端に、佐橋先輩に投げつけた言葉が恥ずかしくてしょうがなくなった。
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