きみと恋の話をしよう
事の発端は先週の日曜日、佐橋先輩が朝一番の紀尾井屋書店にやってきたのだ。
私は読み終えた本を返し、新たに私のオススメの小説を渡す。
他のお客さんが入店してくる前の10分くらい、佐橋先輩の本『キスは上司命令』について語った。
ヒロインのユキの清純さだとか、惇の一途な溺愛だとか、二人に訪れる試練だとか。
とはいえ、私はバイト中。
他のお客様がきたら、もう佐橋先輩とトークしていたらいけない。
『話し足りないな』
佐橋先輩は悔しそうに言って、さっと文具コーナーへ。
試し書きのボールペンで設置してあったメモ用紙に何やら書き出す。
私の手に乗せてくれたのはメッセージアプリのIDだった。
『よければ、バイトの後会おう』
佐橋先輩は真剣な顔で言って、本日は新たなオフィスラブを手にすることなく紀尾井屋書店を去っていった。
私は読み終えた本を返し、新たに私のオススメの小説を渡す。
他のお客さんが入店してくる前の10分くらい、佐橋先輩の本『キスは上司命令』について語った。
ヒロインのユキの清純さだとか、惇の一途な溺愛だとか、二人に訪れる試練だとか。
とはいえ、私はバイト中。
他のお客様がきたら、もう佐橋先輩とトークしていたらいけない。
『話し足りないな』
佐橋先輩は悔しそうに言って、さっと文具コーナーへ。
試し書きのボールペンで設置してあったメモ用紙に何やら書き出す。
私の手に乗せてくれたのはメッセージアプリのIDだった。
『よければ、バイトの後会おう』
佐橋先輩は真剣な顔で言って、本日は新たなオフィスラブを手にすることなく紀尾井屋書店を去っていった。