きみと恋の話をしよう
ポートマートは広く、二棟を繋ぐアーケード中央にメインの広場があった。

噴水とベンチ。
似顔絵やバルーンアートなんかのイベントワゴンも来ている。

私は噴水の前まで駆けて行った。


「ここで初めてキスするんですよね!」


佐橋先輩が追いかけてくる。


「深山さん、声でかいってば。キスとか、大声で……もーっ」


ごめんなさい、そんなふうにあきれないでください。


「じゃひそひそ言います」


「そうしなさい」


20センチ以上上にある佐橋先輩がかがみこんで私に顔を近づけた。

うわわっ!近い!


「先輩!」


「なに?」


佐橋先輩はあくまで私と小声で喋るため顔を近づけただけみたい。
きょとんとしてるもん。

あー、もう!佐橋先輩の天然悪女!
さらっと接近されたら、こっちの心臓がもたないんですけど。
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