きみと恋の話をしよう
「あっ……あの!いざ、来てみると、結構人が多いですね。こんなところで、キスできたユキと惇はなかなかの猛者ではないかと!」


「確かに。勇気いるよな」


真面目に返してくれる佐橋先輩。


「でも、舞台的にはいいのかもしれない。バックは噴水で、アーケードの天井がステンドグラス風でロマンティックだし」


「書く方の参考になりますか?」


佐橋先輩がうーんと真上に伸びた。
顔の距離が離れて、ちょっとだけホッとする。


「それさ。今年は本格的に書き始めない方がいいと思うんだよね」


「と、言いますと……受験のことですか?」


「うん、そう」


佐橋先輩は高3だ。
張り出されるテスト順位で頭がいいのは知ってるけれど、小説を書くのと同時進行で受験は厳しいんじゃなかろうか。
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