きみと恋の話をしよう
「一応、秋に選抜がある指定校推薦を狙ってるんだ。R大文学部」


佐橋先輩の言うのは名門大の名前。
学校説明会で聞いたけど、確かうちの高校が持っている指定校枠では一番偏差値が高い大学だ。


「学内選抜と面接ですよね」


「うん、学内選抜は普通にペーパーテストやるし。指定校枠から落ちたら、自力で受験」


それは……確かに優先すべきは勉強だろうな。


「でも、書いてみたいって気持ちを殺して勉強するのもなぁ。読むのだって減らしてるし、勉強の時間も取ってる。日に1時間だけ、書く方に当てたっていいかなぁなんて……ムシが良すぎるかな」


佐橋先輩の言葉を聞けば聞くほど胸がぎゅっとなる。
彼が望むなら応援してあげたい。

だけど、それって無責任なのかな。

少し考えて、私は提案してみる。


「短編とか……どうですか?」
< 57 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop