きみと恋の話をしよう
「えー、普通は『一番最初の読者になってくれる?』って言いません?ストーリー的には」


佐橋先輩がぶんぶんと首を左右に振り、頬を赤くして顔をしかめている。


「無理。そんな自分の内臓見せるみたいで、羞恥を超えて怖い。絶対見せらんない」


なんと、このイケメン、結構ビビりさんじゃないですか。


「賞に出すんでしょう?他人なら見てもいいんですか?」


「うん、深山さんに見られることの恥ずかしさを思ったら、他人に見せた方がまだマシ」


ほほう。
ひどい言い草ではないですか。

目の前の可愛い王子様にとっても意地悪なことを言いたくなってきた。


「もう、ひとりで店番してあげません」


「え?どういうこと?」


「従姉店員の桃子ちゃんを日曜朝から呼んじゃいます」


私のツンツンな態度に、佐橋先輩が慌てたように言い返す。
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