きみと恋の話をしよう
「それって、俺にまた変装してこいってこと?うわ、意地悪いよ、深山さん。可愛い顔していじめっ子だな」


可愛いとか無意識に言わないでください。
そっちの方が意地悪です。

私は胸の妙な疼きを抑えて笑顔になった。
しょうがないなぁ、そんな顔をしてみせる。


「嘘ですよ。今までどおり、日曜朝は私だけです」


「ホント?頼むよ、恋愛小説を買うのと、深山さんと話すのはもうセットなんだから」


ほっと、ため息をつく佐橋先輩。
そんな単純で無防備だと、悪い人に騙されますよ。

ううん、私の方が騙されちゃいそう。
この人の悪気のない好意に、ただの先輩後輩の関係を勘違いしそうになる。
< 60 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop