きみと恋の話をしよう
「さて、次はどこをまわりますか?」


私が声をかけると、佐橋先輩はまた私の顔を覗き込むため腰を折った。


「アイスクリーム食べたくない?」


「すっごい食べたいです」


「見て、姉貴からもらったサービス券」


佐橋先輩の手には、近隣ではこのショッピングモールにしかないチェーンのアイスクリーム屋さんの割引券。


「10パーセントOFF。大きいですね」


「だろ?ここは先輩がおごってあげるからさ」


先に立って歩き出す佐橋先輩に追いすがり、慌てて答える。


「いいです。自分で出しますよ」


「デートは男子が払うもんらしいよ」


「恋愛小説情報、いらないです」


「深山さんキツい。でも、小説じゃなくても一般的にそうだって、姉貴が言ってたから、今日は俺が全部出すんで」
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