きみと恋の話をしよう
私たちはアイスもランチもポートマートKで済ませ、夕方までぶらぶらと歩き回った。
イベントスペースでショーを見たり、お互いの趣味に合うお店を覗いたり。

楽しい時間はあっという間。
日が傾いてくると、どことなくつまらなくなってくる。

今日が終わっちゃう。
あと少しで佐橋先輩とのお出かけは終わりだ。

たとえば私が「またどこか行きましょうね」なんて誘えるかと言ったら、そんな立場にはない。

私と佐橋先輩は対等じゃない。
あくまで今、同じ趣味を共有しているだけ。

それに、ただでさえ時間のない受験生を遊びに誘ったら無神経だ。

だから、帰りの電車でもバスでも、他愛のない話ばかりで、本音に近いことは言わなかった。

我が家近くのバス停で別れる時、私は感じたこともないような寂しさを覚えていた。



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