きみと恋の話をしよう
ぎくんと固まる私。

嘘、菜絵もいたの?あの場に。


「私は、お母さんとお姉ちゃんと一緒だった」


菜絵はもったいつけて、言葉を切った。
それからにやっと笑い、なおも小さな声で言った。


「佐橋先輩とどういう関係?」


わわわーっ!
見られてたー!

こちらからは知り合いを見かけなかったから安心してたのに!


「あの、菜絵さん」


「なんでしょう、千花さん」


「これには深いワケがありまして」


「親友の深いワケ、めっちゃ聞きたいです、千花さん」


駄目だ、ごまかしきれそうにもない。

だけど、佐橋先輩と出かけた理由だけは、彼の名誉にかけて言えない。

私は深呼吸をすると、菜絵の顔を見つめて言った。
なるべく真剣に。
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