きみと恋の話をしよう
「まず、お付き合いとかそういうのはないの。たまたま、共通の用事があって行っただけ」


「共通の用事って何?」


「ごめん、ちょっと言えないんだけど、本当に恋愛関係のことじゃないの」


菜絵はあきらかに不満げな顔だ。
そりゃそうだよね。親友なのに、隠し事してる状態だもん。


「もしかして、佐橋先輩と元から知り合いだったとか?」


菜絵は類推して問う。

うーん、厳密には違うけれど、学外で知り合ったのは確かだ。


「そんなところかな」


やっぱりまだ納得していない顔の菜絵。

ごめんね、でもこの真実は一生話してあげられないかも。

ともかく、今は菜絵に黙っていてもらう確約が必要だ。
私は両手をぱちんと顔の前合わせた。


「お願い!誰にも言わないで!私なんかと噂になったら、佐橋先輩もかわいそうだから」
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