きみと恋の話をしよう
*
「失礼します!」
放課後、転がり込むように生徒会準備室に飛び込んだ。
ああ、一日が長かった!
休み時間のたび、どこぞから噂が聞こえてくるんじゃなかろうかと、被害妄想丸出しでビクビク過ごしてきたんだから。
「佐橋先輩……あの」
焦る私をよそに、佐橋先輩は沈鬱な表情だ。
パイプ椅子に座り、長机に肘をついている。
もともと、憂いを含んだ美しさのある顔が、今日は暗い。
「あの!……って、私うるさいですよね」
「いや、大丈夫。今日は隣の生徒会室、カラだから。美柳たちが教頭と会議するっていうから、締めてる」
ああ、そうなんだ。
どうりで人影も話し声も聞こえない。
それにしたって、どうしちゃったの?佐橋先輩。