きみと恋の話をしよう





「失礼します!」


放課後、転がり込むように生徒会準備室に飛び込んだ。

ああ、一日が長かった!
休み時間のたび、どこぞから噂が聞こえてくるんじゃなかろうかと、被害妄想丸出しでビクビク過ごしてきたんだから。


「佐橋先輩……あの」


焦る私をよそに、佐橋先輩は沈鬱な表情だ。
パイプ椅子に座り、長机に肘をついている。

もともと、憂いを含んだ美しさのある顔が、今日は暗い。


「あの!……って、私うるさいですよね」


「いや、大丈夫。今日は隣の生徒会室、カラだから。美柳たちが教頭と会議するっていうから、締めてる」


ああ、そうなんだ。
どうりで人影も話し声も聞こえない。

それにしたって、どうしちゃったの?佐橋先輩。
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