きみと恋の話をしよう
「でも、お互い初めてのことですし、やっぱりファーストキスは好きな人とすべきだと思います」


本当は……このまま本番のキスをしてみたっていい。
佐橋先輩が望んでくれるなら。

私の心は言っていた。

だけど、後になって先輩が後悔する顔を見たくない。
気まずくて会えなくなったりするのは死んでも嫌。

この気持ちは……そういうこと?
いつから?

気付かぬうちに進んでいた症状。
自分の心がすでに大きく変わっていることに気づき、愕然とした。


「なので、フリはどうでしょう?」


私の提案に佐橋先輩が赤い顔で見つめてくる。


「キスの……フリ?」


「はい、雰囲気とか……味わえませんかね」


先輩は考える様子を見せたのは一瞬。
次に彼は低く答えた。


「いい案かも」
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