きみと恋の話をしよう
昇降口でスニーカーを引っ掛け、少し走る。

バス停でいつものバスに乗った。
我が家から高校までは徒歩圏内。
だけど、紀尾井屋書店はバスで反対方向に向かわなければならない。

土日は自転車でバイトに行くけど、平日は学校からバスだ。

下校時間帯だけど、放課からまだ時間が経っていないせいか、乗客は少ない。

ラッキー、ゆったり座っちゃおう。
一番後ろの座席に座るとちょうどバスが発車した。

後ろの長い座席には、私と反対の端っこにひとり……うわぁ!

あの人ってば佐橋(さばし)先輩だ!

私は偶然にも同じバスに乗り合わせた高校の有名人を盗み見する。


佐橋疾風(さばしはやて)先輩。

うちの高校の3年生。
ちょっと前に引退したけどバレー部ではリベロ、生徒会の庶務長もしていて、一年生のミーティングで色々喋っていたから、私だって知ってる人。
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