きみと恋の話をしよう
「恋愛小説好きってこと笑わないでいてくれた。俺の趣味の話に付き合ってくれた。一緒にでかけてくれたし、変な練習まで付き合ってくれた」


そんな風に笑わないで。
余計つらいから。


「深山さんにもらった気遣い、きちんと大学に受かることで返すから。……ってお返しにならないよな」


佐橋先輩が立ち止まる。私も立ち止まり、彼を見上げた。

キラキラな王子様は、少し困ったような笑顔のまま、私に言った。


「大学に合格したら、きちんとお礼するよ」


私は首を横に振った。

なぜだろう、心の中は豪雨みたいに荒れ狂っているのに、私は笑っているのだ。
涙は出ない。

大丈夫、きっと最後まで泣かないで言える。
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