きみと恋の話をしよう
「気にしないでください。先輩が希望の進路に決まったら、それで十分嬉しいです。……私は本好きな先輩と、たくさんお話できて楽しかったですよ」


大好きだから、言わない。
先輩が好きだなんて言わない。

だって、私の気持ちが一番邪魔になるもん。

恋愛小説を封印して、受験に挑む先輩に、趣味が合うだけの後輩が勘違いして告白したら……。

先輩はきっと後悔するだろうな。
私と出会ったこと。
私と時間を共有したこと。

先輩の中で苦い思い出になりたくない。
かけらでも鬱陶しく思われたくない。

だから、私は見送るんだ。

それがきっと、私の描く理想の結末。


「受験、頑張ってください。影ながら応援してます」
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