きみと恋の話をしよう
秋になるとすぐに体育祭があって、一二年生はそこに向けて忙しくなった。

私は大看板の係になり、毎日、ジャージを汚しながらペンキ缶を片手に作業に没頭。
私のクラスのチームは準優勝だったけれど、かなり熱中できた思い出だ。

体育祭が過ぎれば、中間テストがやってくる。

夏に遊び過ぎたツケなのか、勉強に身が入らず、振るわない成績で終わってしまった。
バイトを減らしなさいと母に怒られ、必死に頭を下げまくったり。

そうこうしているうちに文化祭が目前。

毎日はめまぐるしく過ぎていき、私は佐橋先輩のことを考える余裕もなかった。



……嘘。


そんなことはなく、結局私はいつだって佐橋先輩のことを考え続けた。

校内行事では、無意識に姿を探していたし、佐橋先輩に似た声を聞けば、アルバイト中だって顔をあげた。
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