きみと恋の話をしよう
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11月末、文化祭が明日に迫った日のことだった。
我がクラスの模擬店は休憩室というお気楽なもの。
教室をかざりつけ、椅子をならべるだけ。他のクラスの食品を持ち込むのも可能で、のんびりしていってくださいというだけの出し物だ。
準備は三日前スタートで充分。
前日の今日は一応遅くまで残って飾りつけを行った。
20時、私たちは最後のセッティングを終え、解散の運びとなっていた。
「千花、本当にいいの?」
帰路につくというこのタイミングで、菜絵が申し訳なさそうな顔で聞いてくる。
私は余裕の微笑みで答えた。
「いいの!っていうか、ここで私に気ぃ遣ったら怒るよ」
菜絵が困惑の表情を、一転決意の表情に変える。
うなずき、私に手を振ると駆け出した。
その方向には、菜絵憧れの有森くんの姿。