きみと恋の話をしよう
なんと有森くんが「遅いし送るよ」なんて菜絵を誘ってきたのだ。
そこで菜絵は一緒に帰る予定だった私に、慌ててお伺いを立ててきたっていうわけ。

もう、ここで背中を押せなかったら親友なんて言えないでしょ。

私は連れだって帰っていくふたりを廊下で見守る。

案外、今日あたり告白なんてことになったりして。
どう見たって両想いなふたりだ。
そうしたら、明日の文化祭、菜絵とは回れないかなぁ。

教室を見やると、数人の文化祭実行委員の子が残るだけ。
さて、私も帰ろう。

昇降口に向かう。
あ、でもちょっと時間差をつけないと菜絵と有森くんとかち合っちゃうなぁ。

自販機で缶のミルクティーでも飲んでいこう。
一階の自販機に立ち寄り、がさがさとお財布を探す。


「深山さん」


その声を聞いた時、夢かと思った。

だって、ずっと聞きたいと思っていた声だったから。
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