きみと恋の話をしよう
ゆるゆると振り向くと、そこには佐橋先輩が立っていた。


「見つけた」


本当に久しぶりの佐橋先輩だった。
暗い廊下でも佐橋先輩のサラサラの髪も綺麗な顔もよく見えた。

少しやせたかな。大人びて見える。


「佐橋先輩……」


「……さっき、決まって。えーと、その……。深山さんに会いに、教室まで行ったんだけど」


佐橋先輩は焦ったように言葉を紡ぐ。
なんのことかと首をかしげると、先輩が大きく一歩踏み出した。それから、私の両肩をがしっとつかむ。


「学内選抜、俺に決まった!」


「え?」


「大学の指定校枠、俺で決定したんだ。大学側の面接もあるけど、ここまで来たらほぼ安心だって、担任に言われた」


興奮気味に言う佐橋先輩の言葉を理解し、私の内側からじわじわと喜びが溢れて来る。


「先輩……やったぁ……やりましたね!……おめでとうございます」

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