きみと恋の話をしよう
「はい。それで私も将来のことを考え始めました。……編集者になりたいなぁって思ってます。恋愛小説レーベルの」


佐橋先輩の目が見る間に大きくなった。それからこぼれそうな笑顔になる。


「俺の担当をしてくれるかもってこと?」


「そううまくはいかないと思いますけど……ご縁があれば」


「ご縁ができるように頑張らなきゃな」


こんなかたちで自分の夢が決まるなんて思わなかったし、それを佐橋先輩に告白する日がくるなんて。

先輩とこうして話す機会すら、もうないと思っていたのに。
今この瞬間こそが夢みたいだ。


佐橋先輩がふと真面目な表情になった。
私の肩をつかんでいた両手を話すと、私の目をじっと見つめる。

空気の変化に、私は驚いて背筋を伸ばした。


「深山さん、大学に受かったらお礼をさせてほしいって話、覚えてる?」
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