きみと恋の話をしよう
「お返しとかお礼とかいらないって言ったじゃないですか」


「うん、その言葉に甘える感じになっちゃうんだけど。……俺、深山さんからの合格祝いが欲しいんだ」


思わぬ要望だ。

合格祝い?
どんなものがいいんだろう。でも、佐橋先輩がそう望むなら……。

少し考えてから、良い案を思いついて言う。


「今月の新刊、オススメがあります。お祝いになるなら、プレゼントさせてください!」


「いや、そうじゃなくて」


佐橋先輩が言い淀み、射抜くように真剣に私を見つめる。

胸がどきんどきんと鳴り響き始めた。
先輩の視線がさっきまでとあきらかに違うからだ。

何?
先輩、どうしたの?



「合格祝いに……俺と付き合ってください」



言葉が誰もいない廊下に響いた。

私の顔と佐橋先輩の顔が真っ赤になったのはたぶん同時のこと。
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