きみと恋の話をしよう
「冗談……ですよね」


絶対に私の一方通行だと思っていた。

先輩とは世界が違うと思っていた。
彼の秘密を知ったからって、彼の特別になれるなんて考えられなかった。

いいの?先輩。

私でいいんですか?

全然釣り合わない地味で美人じゃない私を、彼女に望んでくれるんですか?


「深山さんが冗談にしてほしいって言うなら、撤退するけど」


私の言葉に佐橋先輩がぎゅっと唇を噛む。
その顔がどうしようもなく愛しくて、私の瞳から我慢していた分の涙が一斉に溢れ出した。


「み・深山さん!ごめん、急に困らせるようなことを言って」


「いえ、……違います。……困ってないです」


大好きな王子様の顔を見上げると、私は泣き笑いの顔で言った。


「佐橋先輩、大好きです。付き合ってください」
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