きみと恋の話をしよう
胸にしまい込んだ想いは涙と一緒にするすると溢れた。
佐橋先輩の表情が驚きに変わり、それからふわぁっと緩んだ。


「いいの?」


「先輩こそ、私でいいんですか?」


「いいに決まってる」


佐橋先輩が赤い頬で、嬉しさをにじませて笑う。


「小説を読むより書くより、深山さんと会うのを我慢するのがつらかった。いつの間にか、すっごく好きになってた。受験が終わったら、玉砕覚悟で告白するつもりでいたんだ。そればっかり考えて勉強してたよ。よく受かったよな、俺」


私は目尻の涙をぬぐう。


「……それで、結果が出たその日に来てくれたんですか?」


「うん。もう我慢できそうもなかったから」


そう言って、先輩がゆっくりと私を抱き寄せた。
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