不倫のルール
「柴田さん……」
今度は、柴田さんが肩を竦めて笑った。
「我ながら、かなり強引な理由をつけて、繭ちゃんと会ってるとは思ってたけど。繭ちゃんといる時間は、本当に楽しかった。週末、しっかり充電できていたから、仕事にもがんばれたんだって気付いた」
「私も!柴田さんと会っている時は楽しくて。こんな時間がずっと続けば……と思っていました。でも、柴田さんの転勤で会えなくなって……やっと、自分の本当の気持ちに向き合いました」
柴田さんが手を上げて、そっと私の頬を包んだ。柴田さんの温もりを感じながら、柴田さんの大きな手に、自分の小さめの手を重ねる。
「柴田さん、大好きです。これからも、ずっと傍にいさせてください」
柴田さんの瞳を見つめ、一言一言に、伝えたかった自分の想いをこめる。
柴田さんのきれいな顔が、ゆっくりと近付いてくる。私が、そっと目を閉じると、触れるだけのキスをした。
おでこをくっつけたまま、囁くように柴田さんは言った。
「賢人」「はい?」「これからは、名前を呼んで」「……」
男の人の名前を呼び慣れていない私は、うまく言葉が出ない。
「繭?」柴田さんが、おでこを離して私の名前を呼んだ。……呼び捨てに、なってるし……
困って柴田さんの顔を、無言で見つめた。思えば付き合った人は、みんな年上のお仕事がらみの人。名前を呼ぶなんてなんか畏れ多いし、その事をあまり言われた事はなかった。
今度は、柴田さんが肩を竦めて笑った。
「我ながら、かなり強引な理由をつけて、繭ちゃんと会ってるとは思ってたけど。繭ちゃんといる時間は、本当に楽しかった。週末、しっかり充電できていたから、仕事にもがんばれたんだって気付いた」
「私も!柴田さんと会っている時は楽しくて。こんな時間がずっと続けば……と思っていました。でも、柴田さんの転勤で会えなくなって……やっと、自分の本当の気持ちに向き合いました」
柴田さんが手を上げて、そっと私の頬を包んだ。柴田さんの温もりを感じながら、柴田さんの大きな手に、自分の小さめの手を重ねる。
「柴田さん、大好きです。これからも、ずっと傍にいさせてください」
柴田さんの瞳を見つめ、一言一言に、伝えたかった自分の想いをこめる。
柴田さんのきれいな顔が、ゆっくりと近付いてくる。私が、そっと目を閉じると、触れるだけのキスをした。
おでこをくっつけたまま、囁くように柴田さんは言った。
「賢人」「はい?」「これからは、名前を呼んで」「……」
男の人の名前を呼び慣れていない私は、うまく言葉が出ない。
「繭?」柴田さんが、おでこを離して私の名前を呼んだ。……呼び捨てに、なってるし……
困って柴田さんの顔を、無言で見つめた。思えば付き合った人は、みんな年上のお仕事がらみの人。名前を呼ぶなんてなんか畏れ多いし、その事をあまり言われた事はなかった。