不倫のルール
夏休み以降もアルバイトを続ける事を了承したら、お礼にと食事に誘われた。

一度は断ったが、カフェの新メニューを考える参考にしたいから、食事に付き合ってほしい……そう言われたら、もう断れなかった。

何度か新庄さんと食事に出かけたが、どのお店もすてきで、新庄さんのセンスのよさを感じた。

新庄さんとの会話も楽しかった。新庄さんのおしゃれで大人な雰囲気に、すっかりのぼせていた。

何度か食事した後に「好きだ」と新庄さんから告白された。

「私も好きです」と応えたら「抱きたい」と言われて、小さく頷いた。

そのままホテルに行って……私達は付き合い始めた。

二人だけで会えるのは月に二~三度だけとか、会うのがホテル中心だった事とか、クリスマスなどのイベントの時、一緒にいられなかった事とか……考えれば不自然な所はたくさんあったのに。

そういうイベント時は、たいてい飲食店は忙しい。「忙しくって、時間がとれない」と言われて納得していた。

その代わり、その前後に必ずフォローがあった。おいしい食事に連れて行ってくれたり、ちょっとしたプレゼントをしてくれたり……

そんな事で『愛されている』なんて勘違いをしていた。


小さい頃から、一つの事に夢中になると、周りが見えなくなってしまい、よく注意をされた。

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