思い出約束
病院に着くと、“手術中”の文字が赤く光っていた。


ねぇ、神様。

お願い…俊くんだけは奪わないで。

どうして、俊くんだけこんなに…。やっぱり、神様は人に不平等だ。




あれからしばらく時間がたった。みんな下をみてうつ向いていた。



「はい。これ」


俊くんのおじいさんがジュースを買ってきてくれた。

「飲酒運転が原因だそうだ…」


おじいさんは飲み物を飲みながら言う。



俊くんのおじいさん…。
自分の子供も孫も飲酒運転でこうなるなんて…



「あのっ!誰かご家族の方」


医者がドアから出てきた。


はい。と立ち上がるおじいさんをみて、医者は一瞬、驚いた顔をした。



「あのっ!!俊くんは…」


沙良が聞く。


お願い


生きていて…
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