思い出約束
海斗side


「沙良ちゃん!待てよ!!」
俺がいくら叫んでも、沙良ちゃんは一向に止まろうとしない。



「沙良ちゃん!!」


ピタリと沙良ちゃんの動きが止まった。


「沙良…ちゃん?」


そっと見た沙良ちゃんの目先には…


俊がベッドにいた。


「しゅっ俊くん!!」


沙良ちゃんが俊のいるベッドまで走って行った。


でも…

『お前…誰だ?』


―その言葉が帰ってきた。


ポロ・ポロ・ポロポロ…


沙良ちゃんから、何粒も何粒も涙がこぼれる。


「このっ野郎…!!」


俺が殴ろうと俊に走って向かう瞬間…


「やめてー!


やめて…海斗」


泣きながら訴えかけてくる沙良ちゃんに、俺は何もできなくなってしまった。
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