思い出約束
「悪い、未來。」



今まで掴んでいた、Tシャツの裾をそっと放して、未來さんは、病室を出ていってしまった。



「未來さん!」




追いかけるのはおかしいと思うけど、自然と体が未來さんを追っていた。



しばらく走って、ようやく追いついた。



「春花ちゃん…今までごめんなさいね。」


「えっ」



思いもよらない言葉になんて言っていいか、わからなくなってしまった。



「あたしね…ついさっきまで、どんな事があっても、俊くんだけは、絶対に渡さないって思ってた。」



未來さんが大きなため息をつく…



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