オオカミくんと子ブタちゃん
*****
トントン…
「大賀見、入るよ。」
返事がないので静かにドアを開け部屋に入る。
作ってきたお粥を一旦テーブルの上に置き、大賀見の様子をそっと覗き込む。
スー、スー、と一定のリズムで聞こえる呼吸音。
そっと寝ている大賀見の額に手を当ててみる。
パシッーーー!
「痛っ!」
いきなり強い力で手を弾かれた。
バッと起き上がり私を睨む大賀見の冷たい視線に、ゾクッと背中が冷たくなった。
「ご、ごめん。大賀見…。」
「あぁ……、子ブタか…。わりぃ。」
私だとわかった大賀見は、自分の前髪をクシャッとして少しホッとしたように言った。
もしかして…
ここまで警戒しながらじゃないと、今まで眠れなかったってこと?
「アンタ…今まで家政婦に何されてきたのよ。」
「何って…、お前に話す必要はない。」
また、不機嫌な顔に戻る大賀見…
まぁ、そりゃ話す必要はないかも知れないけど、気になるじゃん。
「…とりあえず、お粥を作ったから食べてよ。」
テーブルに置いてあるお粥をトレイごとベッドまで運び大賀見に手渡す。
「食えんの、コレ?」
「自慢じゃないけど、料理は得意なのっ。つべこべ言わずにさっさと食べなさいよ。」
病人のくせに口だけは元気なんだからっ。
大賀見はゆっくりとお粥を口元へ運び、フーフーと冷ましてからパクッとひとくち食べた。
パパ以外の人に料理を食べてもらうのは初めてだから、少し緊張するな…
料理っていってもお粥だけど…
「……うまい。」
フーフーと冷ましてから、またひとくち、そしてまたフーフーしてから、ひとくち、お粥を美味しそうに食べていく。
「もしかして、大賀見って猫舌?」
「う、うるせぇな///。」
うそ…大賀見が照れてる?
フーフーしてお粥を食べる姿とか、猫舌がバレて照れるところとか…
ふふ… なんだ、可愛いところもあるじゃん。
「なに笑ってんだよ。」
「別にぃ…。はい、コレ飲んで、ひたすらに眠りなよ。」
私は大賀見に薬と水を渡す。
今度は文句も言わずに、すんなりと薬を飲み、再び私に背中を向けて寝転ぶ。
「じゃ…、何かあったら呼んでね。」
私が食器を持って部屋を出ようとすると
「……さんきゅう…な///」
ボソッとベッドから背を向けたままの大賀見が言った。
「どういたしまして。」
私は、そっとドアを閉めて部屋を出る。
素直な大賀見が可愛くて、からかいたくなったけど、病人だし今日のところは大人しく退散することにした。
一階に下りてキッチンで洗い物をしてから自分の荷物を片づけようと思ったが……
ん?
私ってどの部屋を使ったらいいのかな?
おじ様も仕事に行ってしまったし、大賀見の眠りを妨げるわけにもいかないし…
まいったな…………
とりあえず、今日はリビングで寝るしかないか。
その前に、大賀見のおでこの冷却シートを取り替えに行こう。
再び大賀見の部屋をノックし返事が無かったので、そっとドアを開け部屋に入る。
薬が効いたのか、ぐっすりと眠っている大賀見。
できるだけ音を立てずに近づきベッドの横に座って、寝ている大賀見の額に手を当て熱を測ってみる。
「少し下がったかな?」
そっと大賀見が起きないように、冷却シートを貼り替えた。
………それにしても
コイツってば、綺麗な顔してるなぁ…。
思わず大賀見の寝顔に魅入ってしまう。
この顔……長時間見てても飽きないけど、人に寝顔を見られてるのって嫌だよね?
私が静かに立ち上がり部屋を出ようとしたら
ぐいっ‼︎
ーーーーーっ⁇
突然、眠っているはずの大賀見に手首を掴まれ、再びベッドの横に座ってしまった私…。
「ちょっ⁈な、なに⁇」
慌てて大賀見の方を見るが、スー、スー、と寝息が聞こえてくる。
「……へ?寝てる?」
なに?
ひょっとして寝ぼけてる?
私は大賀見の手を外そうとするが、ガッチリと掴まれていて外れない。
「マジ?どうしよう………。」
うぅ…仕方ない。
大賀見が手を放してくれるまで待つか。
私はとりあえず大賀見が起きるまで、このままの体勢でいることにした。
トントン…
「大賀見、入るよ。」
返事がないので静かにドアを開け部屋に入る。
作ってきたお粥を一旦テーブルの上に置き、大賀見の様子をそっと覗き込む。
スー、スー、と一定のリズムで聞こえる呼吸音。
そっと寝ている大賀見の額に手を当ててみる。
パシッーーー!
「痛っ!」
いきなり強い力で手を弾かれた。
バッと起き上がり私を睨む大賀見の冷たい視線に、ゾクッと背中が冷たくなった。
「ご、ごめん。大賀見…。」
「あぁ……、子ブタか…。わりぃ。」
私だとわかった大賀見は、自分の前髪をクシャッとして少しホッとしたように言った。
もしかして…
ここまで警戒しながらじゃないと、今まで眠れなかったってこと?
「アンタ…今まで家政婦に何されてきたのよ。」
「何って…、お前に話す必要はない。」
また、不機嫌な顔に戻る大賀見…
まぁ、そりゃ話す必要はないかも知れないけど、気になるじゃん。
「…とりあえず、お粥を作ったから食べてよ。」
テーブルに置いてあるお粥をトレイごとベッドまで運び大賀見に手渡す。
「食えんの、コレ?」
「自慢じゃないけど、料理は得意なのっ。つべこべ言わずにさっさと食べなさいよ。」
病人のくせに口だけは元気なんだからっ。
大賀見はゆっくりとお粥を口元へ運び、フーフーと冷ましてからパクッとひとくち食べた。
パパ以外の人に料理を食べてもらうのは初めてだから、少し緊張するな…
料理っていってもお粥だけど…
「……うまい。」
フーフーと冷ましてから、またひとくち、そしてまたフーフーしてから、ひとくち、お粥を美味しそうに食べていく。
「もしかして、大賀見って猫舌?」
「う、うるせぇな///。」
うそ…大賀見が照れてる?
フーフーしてお粥を食べる姿とか、猫舌がバレて照れるところとか…
ふふ… なんだ、可愛いところもあるじゃん。
「なに笑ってんだよ。」
「別にぃ…。はい、コレ飲んで、ひたすらに眠りなよ。」
私は大賀見に薬と水を渡す。
今度は文句も言わずに、すんなりと薬を飲み、再び私に背中を向けて寝転ぶ。
「じゃ…、何かあったら呼んでね。」
私が食器を持って部屋を出ようとすると
「……さんきゅう…な///」
ボソッとベッドから背を向けたままの大賀見が言った。
「どういたしまして。」
私は、そっとドアを閉めて部屋を出る。
素直な大賀見が可愛くて、からかいたくなったけど、病人だし今日のところは大人しく退散することにした。
一階に下りてキッチンで洗い物をしてから自分の荷物を片づけようと思ったが……
ん?
私ってどの部屋を使ったらいいのかな?
おじ様も仕事に行ってしまったし、大賀見の眠りを妨げるわけにもいかないし…
まいったな…………
とりあえず、今日はリビングで寝るしかないか。
その前に、大賀見のおでこの冷却シートを取り替えに行こう。
再び大賀見の部屋をノックし返事が無かったので、そっとドアを開け部屋に入る。
薬が効いたのか、ぐっすりと眠っている大賀見。
できるだけ音を立てずに近づきベッドの横に座って、寝ている大賀見の額に手を当て熱を測ってみる。
「少し下がったかな?」
そっと大賀見が起きないように、冷却シートを貼り替えた。
………それにしても
コイツってば、綺麗な顔してるなぁ…。
思わず大賀見の寝顔に魅入ってしまう。
この顔……長時間見てても飽きないけど、人に寝顔を見られてるのって嫌だよね?
私が静かに立ち上がり部屋を出ようとしたら
ぐいっ‼︎
ーーーーーっ⁇
突然、眠っているはずの大賀見に手首を掴まれ、再びベッドの横に座ってしまった私…。
「ちょっ⁈な、なに⁇」
慌てて大賀見の方を見るが、スー、スー、と寝息が聞こえてくる。
「……へ?寝てる?」
なに?
ひょっとして寝ぼけてる?
私は大賀見の手を外そうとするが、ガッチリと掴まれていて外れない。
「マジ?どうしよう………。」
うぅ…仕方ない。
大賀見が手を放してくれるまで待つか。
私はとりあえず大賀見が起きるまで、このままの体勢でいることにした。