オオカミくんと子ブタちゃん
*****
私は家に帰るとすぐに仕事に取り掛かる。
「あれ?」
ダイニングテーブルの上にメモがある事に気付いた。
< 葵ちゃんへ
今日も帰れそうにないので、晩ご飯は用意しなくていいよ。>
おじ様、今日も帰ってこれないのか…。
晩ご飯の材料が余っちゃうな…。
「どうしたの?小辺田さん。」
ダイニングテーブルの前で動きを止めている私を不思議に思い、滝沢くんが声をかけてくれた。
「うーん、おじ様が今日も帰って来れないから、晩ご飯の材料が余っちゃうんだよね…。」
「ほんと?ハルー、僕も晩ご飯を食べてもいいかなぁ?」
滝沢くんが、リビングに寝転んでいる大賀見に向かって大きな声で聞く。
「…勝手にしろ。」
「やった。じゃあ、よろしくね。小辺田さん。」
滝沢くんは嬉しそうにニッコリと笑ってから、大賀見のいるリビングへと行ってしまった。
うそっ⁈
滝沢くんに私の作った料理を食べてもらうの⁇
緊張するんですけどーーっ///
ーーーーーーーーーー
「ん〜美味しいっ!小辺田さんって本当っ料理上手だね。」
滝沢くんが、ローストビーフを美味しそうに頬張りながら言った。
「あ、ありがとう///」
バンッ!
な、なにっ⁈
大賀見が突然、テーブルを乱暴に叩いた。
「黙って食えよ、涼介。」
なぜか不機嫌そうに黙々と食べ進める大賀見。
いつもは、もっと美味しそうに食べてくれるのにな…
今日の大賀見はなんか…ヘンだ。
どうしちゃったんだろ?
「くっくっ…ハルってば、わかりやすいね。」
わかりやすい?何が?
「何がだよ、バカ。」
大賀見は意味がわからないという顔で、滝沢くんを一度見て再び箸を口へと運ぶ。
怒ってると思ったけど怒ってないの⁇
私には大賀見の考えてること、よくわからないんですけど?
「ハルって子供だよね、気付くの遅すぎ。まぁ、僕には好都合だけどね。」
また謎な事をいう滝沢くん。
この大きく生意気な大賀見が子供?
全く意味がわからないですが…
疑問が解決しないまま、食事が終わりキッチンで洗い物をしていると、滝沢くんが手伝ってくれた。
「ありがとう滝沢くん、助かるよ。」
「ご馳走してもらったからね、これくらいはね。」
いつものキラキラスマイルで答える。
本当、滝沢くんってば王子様みたいな人だなぁ。
爽やかで、優しくて、笑顔が素敵で///
「あっ、ちょっと待って。」
隣で食器を拭いてくれていた滝沢くんが、なぜか私の後ろに移動した。
「シャツの袖が濡れそうだよ。」
私を後ろから包み込むようにして腕を伸ばし、袖をゆっくりと捲くってくれる。
「あ、ありがとう///」
ち、近い///
「どういたしまして。……小辺田さんってさ…」
「え?」
滝沢くんの両手が、いつの間にか私のお腹の前辺りに回され、気がつけばそっと優しく抱きしめられていた。
私の顔のすぐ横に滝沢くんの顔がある。
少しでも顔を動かせば、唇が当たってしまいそうだ。
「綺麗な髪だし、なんか良い香りがするね。」
「えっ、あ、あのっ///た、滝沢くん⁇」
耳元で甘く囁かれ、あたふたするしかない私…。
免疫…なさすぎ。
どうしたらいいのか分からず、私が固まっていると
「涼介、仕事の邪魔すんな。」
大賀見がスッと現れて、滝沢くんを私から離してくれた。
「あ〜あ…、ハルの方が邪魔なんだけど。仕方ない、僕そろそろ帰るよ。」
「またね。」と滝沢くんは、私の頭をポンポンとしてから帰っていった。
な、な、なにーーっ⁈
今のっっっ⁈⁈
私がパニックで固まったままいると
「馬鹿か?お前は…。」
不機嫌な顔をしながら腕を組み、調理台にもたれる大賀見。
「私のどこが馬鹿なのよっ。」
本当にコイツってば、憎たらしい事ばかり言ってくるな。
今日は変な人から助けてくれて、すごく嬉しかったのに…。
「馬鹿でしかないだろ。」
なんでそんなこと言うのよ。
なんだか悲しくなってきて、じっと私が俯いたままでいると、いつの間にか私は調理台と大賀見に挟まれている状態になっていた。
私を囲う広い肩幅や逞しい腕にドキッとなる。
「お前は無防備すぎんだよっ。隙だらけもいいとこだっ。」
「なっ⁈私のどこが隙だらけなのよっ。」
思わず顔を上げると、すぐ目の前に大賀見の綺麗な顔があった。
「//////⁈」
な、なによっ。めちゃ顔が近いじゃんっ///
そう思った瞬間………
私の唇は何か柔らかいもので塞がれていた。
……え?
……なに?
「…やっぱ、隙だらけじゃん。」
「な、な、なっ///⁈⁈⁈」
うそっ⁈⁈⁈
い、い、いまっ⁈
キ、キ、キ、キスしたーーーー⁇⁇
「俺、お前の言う通りオオカミだから。気をつけろよ。」
ペロッと大賀見は自分の唇を舐めて意地悪そうな顔をし、自分の部屋へと帰って行った。
トクンッ、トクンッ、トクンッ……
な、何がオオカミよっ///
入学式の日の事、根に持ってんじゃないわよっ。
トクンッ、トクンッ、トクンッ……
なんで、こんなに心臓がドキドキするの?
いきなり、キスされたから?
アイツの事…好きじゃないのにっ。
なんで?
ムカつくアイツにキスされたのに
嫌じゃなかったんだろ…………。
◇◇◇◇◇◇◇
パタン…
俺は平静を装い部屋に帰ってきた。
ドアを閉めその場に座り込む。
「なにやってんだ?俺…///」
完全にヤキモチじゃねーか///
涼介のヤツが子ブタに触れたりするから…イライラして…
昼間だって、あんな変な輩に絡まれやがって…
はぁ……なんで子ブタの事になると、こんなイライラするんだ?
他の男に触れさせたくないって思ったら、無意識のうちに子ブタにキスしてた。
これじゃ、まるで俺が…………
ーーー好きみたいじゃねぇか?
私は家に帰るとすぐに仕事に取り掛かる。
「あれ?」
ダイニングテーブルの上にメモがある事に気付いた。
< 葵ちゃんへ
今日も帰れそうにないので、晩ご飯は用意しなくていいよ。>
おじ様、今日も帰ってこれないのか…。
晩ご飯の材料が余っちゃうな…。
「どうしたの?小辺田さん。」
ダイニングテーブルの前で動きを止めている私を不思議に思い、滝沢くんが声をかけてくれた。
「うーん、おじ様が今日も帰って来れないから、晩ご飯の材料が余っちゃうんだよね…。」
「ほんと?ハルー、僕も晩ご飯を食べてもいいかなぁ?」
滝沢くんが、リビングに寝転んでいる大賀見に向かって大きな声で聞く。
「…勝手にしろ。」
「やった。じゃあ、よろしくね。小辺田さん。」
滝沢くんは嬉しそうにニッコリと笑ってから、大賀見のいるリビングへと行ってしまった。
うそっ⁈
滝沢くんに私の作った料理を食べてもらうの⁇
緊張するんですけどーーっ///
ーーーーーーーーーー
「ん〜美味しいっ!小辺田さんって本当っ料理上手だね。」
滝沢くんが、ローストビーフを美味しそうに頬張りながら言った。
「あ、ありがとう///」
バンッ!
な、なにっ⁈
大賀見が突然、テーブルを乱暴に叩いた。
「黙って食えよ、涼介。」
なぜか不機嫌そうに黙々と食べ進める大賀見。
いつもは、もっと美味しそうに食べてくれるのにな…
今日の大賀見はなんか…ヘンだ。
どうしちゃったんだろ?
「くっくっ…ハルってば、わかりやすいね。」
わかりやすい?何が?
「何がだよ、バカ。」
大賀見は意味がわからないという顔で、滝沢くんを一度見て再び箸を口へと運ぶ。
怒ってると思ったけど怒ってないの⁇
私には大賀見の考えてること、よくわからないんですけど?
「ハルって子供だよね、気付くの遅すぎ。まぁ、僕には好都合だけどね。」
また謎な事をいう滝沢くん。
この大きく生意気な大賀見が子供?
全く意味がわからないですが…
疑問が解決しないまま、食事が終わりキッチンで洗い物をしていると、滝沢くんが手伝ってくれた。
「ありがとう滝沢くん、助かるよ。」
「ご馳走してもらったからね、これくらいはね。」
いつものキラキラスマイルで答える。
本当、滝沢くんってば王子様みたいな人だなぁ。
爽やかで、優しくて、笑顔が素敵で///
「あっ、ちょっと待って。」
隣で食器を拭いてくれていた滝沢くんが、なぜか私の後ろに移動した。
「シャツの袖が濡れそうだよ。」
私を後ろから包み込むようにして腕を伸ばし、袖をゆっくりと捲くってくれる。
「あ、ありがとう///」
ち、近い///
「どういたしまして。……小辺田さんってさ…」
「え?」
滝沢くんの両手が、いつの間にか私のお腹の前辺りに回され、気がつけばそっと優しく抱きしめられていた。
私の顔のすぐ横に滝沢くんの顔がある。
少しでも顔を動かせば、唇が当たってしまいそうだ。
「綺麗な髪だし、なんか良い香りがするね。」
「えっ、あ、あのっ///た、滝沢くん⁇」
耳元で甘く囁かれ、あたふたするしかない私…。
免疫…なさすぎ。
どうしたらいいのか分からず、私が固まっていると
「涼介、仕事の邪魔すんな。」
大賀見がスッと現れて、滝沢くんを私から離してくれた。
「あ〜あ…、ハルの方が邪魔なんだけど。仕方ない、僕そろそろ帰るよ。」
「またね。」と滝沢くんは、私の頭をポンポンとしてから帰っていった。
な、な、なにーーっ⁈
今のっっっ⁈⁈
私がパニックで固まったままいると
「馬鹿か?お前は…。」
不機嫌な顔をしながら腕を組み、調理台にもたれる大賀見。
「私のどこが馬鹿なのよっ。」
本当にコイツってば、憎たらしい事ばかり言ってくるな。
今日は変な人から助けてくれて、すごく嬉しかったのに…。
「馬鹿でしかないだろ。」
なんでそんなこと言うのよ。
なんだか悲しくなってきて、じっと私が俯いたままでいると、いつの間にか私は調理台と大賀見に挟まれている状態になっていた。
私を囲う広い肩幅や逞しい腕にドキッとなる。
「お前は無防備すぎんだよっ。隙だらけもいいとこだっ。」
「なっ⁈私のどこが隙だらけなのよっ。」
思わず顔を上げると、すぐ目の前に大賀見の綺麗な顔があった。
「//////⁈」
な、なによっ。めちゃ顔が近いじゃんっ///
そう思った瞬間………
私の唇は何か柔らかいもので塞がれていた。
……え?
……なに?
「…やっぱ、隙だらけじゃん。」
「な、な、なっ///⁈⁈⁈」
うそっ⁈⁈⁈
い、い、いまっ⁈
キ、キ、キ、キスしたーーーー⁇⁇
「俺、お前の言う通りオオカミだから。気をつけろよ。」
ペロッと大賀見は自分の唇を舐めて意地悪そうな顔をし、自分の部屋へと帰って行った。
トクンッ、トクンッ、トクンッ……
な、何がオオカミよっ///
入学式の日の事、根に持ってんじゃないわよっ。
トクンッ、トクンッ、トクンッ……
なんで、こんなに心臓がドキドキするの?
いきなり、キスされたから?
アイツの事…好きじゃないのにっ。
なんで?
ムカつくアイツにキスされたのに
嫌じゃなかったんだろ…………。
◇◇◇◇◇◇◇
パタン…
俺は平静を装い部屋に帰ってきた。
ドアを閉めその場に座り込む。
「なにやってんだ?俺…///」
完全にヤキモチじゃねーか///
涼介のヤツが子ブタに触れたりするから…イライラして…
昼間だって、あんな変な輩に絡まれやがって…
はぁ……なんで子ブタの事になると、こんなイライラするんだ?
他の男に触れさせたくないって思ったら、無意識のうちに子ブタにキスしてた。
これじゃ、まるで俺が…………
ーーー好きみたいじゃねぇか?