オオカミくんと子ブタちゃん
*****
「ん〜美味しい〜。」
優衣が苺やブルーベリー、生クリームがいっぱいのったパンケーキを頬張っている。
小さな唇にクリームなんかつけちゃって可愛い///
甘いものがあまり得意ではない私は、とってもシンプルなパンケーキを食べていた。
こういうところが女子力に欠けるのかも知れないな…。
私たちは学校の帰りに、最近できたパンケーキのお店に来ている。
お店の中はウッドテイストな内装で、観葉植物がたくさん置いてあり、白いふかふかのソファーにお洒落なクッションもあって、とても素敵だった。
「ふぅ…。」
優衣がロイヤルミルクティーを一口飲んでから、カップをテーブルに置き話し始める。
「それにしても、今日の滝沢王子の頭ポンポンは胸キュンでしたねぇ。」
ニヤニヤとしながら私をじっと見てくる優衣。
「見られてたんだ///ってか優衣は滝沢くんのこと知ってるの?」
「もちろん知ってるよぉ。有名人だもん。知らなかった葵の方が珍しいよ。」
「そうなんだ…。た、滝沢くんって凄くいい人だよね///滝沢くんの彼女って幸せだろうね。」
「葵さぁ。」
優衣のニヤニヤ顔がさっきより増しているのは気のせいだろうか?
「な、なに?」
「さてはぁ…滝沢王子に恋しちゃいましたね。」
ふふっと笑いながら両手で頬杖をつき、私を上目遣いで見ている。
「そ、そ、そんなことっ/////」
「葵ってば可愛い。顔が真っ赤だよ。」
「う〜…からかわないでよ、優衣〜。」
「ごめん、ごめん。あまりに可愛いからぁ。」
ペロッと舌を出してウィンクする優衣。
そんな仕草をする優衣の方がメチャ可愛いよっ///
「滝沢王子は、たぶんフリーだよ。ーーてか彼女がいるって話し全く聞かないなぁ。誰が告っても断ってるみたいだよ。」
パンケーキをパクッと食べながら優衣が言った。
そっか。
滝沢くん、彼女いないんだ。
良かった…
ーーって私なんて、滝沢くんが相手するわけないじゃんっ。
なに彼女がいない事にホッとしてるんだ私っ///
「あははっ、葵ってわかりやすいね。私、王子とのこと応援するから頑張ってね。」
優衣がニコニコとても楽しそうに、私にピースサインを送る。
今まで友達と恋バナなんてした事がなかったから、なんだかくすぐったいな///
私達はパンケーキを食べ終わっても話が盛り上がってしまい、気がつけば外が暗くなりかけていた。
「ヤバイっ、もうこんな時間⁈」
店内の時計を見てびっくりした。
いつもなら夕飯の支度をしている時間だった。
優衣といるのが楽しすぎて、時間の感覚がなくなってたみたい…。
「え?葵ぃ、この後なにか予定があったの?」
「ううん、予定っていうか…。ウチ父子家庭でさ家事全般は私がしてるんだ。」
「うそっ⁈ごめんねぇ。お喋りしすぎたね。」
と言って優衣は申し訳なさそうにしている。
「いやいや、私も楽しかったしっ。優衣が謝ることじゃないよ。」
私がグッと親指を立てニカッと笑うと、優衣も同じように笑ってグッと親指を立てた。
私達がお会計を済ましてお店を出ると、空は薄暗くなっていて、少し肌寒い風が吹いていた。
メイン道路やお店に街灯がつき、街がキラキラとし始める。
私がそんな綺麗な街に不釣り合いな、今日の晩ご飯のことを考えていると
「あっっっ‼︎」
と優衣が突然、大きな声を出し私の腕を引っ張った。
「な、なに⁇優衣、どうしたの⁇」
「あれってぇ…。」
と優衣は目を凝らしジッと一点を見つめている。
優衣が何を見ているのか気になって、私もその視線の先を辿った。
あっ⁈
滝沢くん…だ…
彼はやっぱりキラキラとしていて、制服なのに周りの人の視線を惹きつけている。
女子高生だけじゃなく、OLのお姉さん達の熱い視線までも集めていた。
「行くよぉっ、葵っ!」
「えっ⁇ちょ、ちょっと待って優衣っ。どこ行くの⁇」
優衣が私の腕を引っ張って、スイスイと器用に人の波をすり抜けてく。
私は訳がわからないまま、優衣に引っ張られ後をついて行った。
「滝沢くぅん。」
優衣が大きく手を振りながら、滝沢くんに声をかけた。
「えっ⁈滝沢くんと知り合いなの?」
「ううん、初対面だよぉ。」
とニコッと微笑む優衣。
… マジか⁇
初対面の相手に…しかも芸能人級のイケメンにいきなり声をかけちゃうなんて…
優衣って……スゴイ…。
突然、街中で知らない女の子に大声で呼ばれ、キョトンとしている滝沢くんだったが、後ろに私の姿を見つけてホッとしたみたいだった。
「初めましてぇ、私、葵の友達で桂 優衣って言います。ヨロシクね。」
ニコニコと超可愛い笑顔で、滝沢くんに自己紹介をする優衣。
「滝沢 涼介です。こちらこそ、ヨロシク。」
少し戸惑いながらも、キチンと自己紹介をしてくれる滝沢くんって誠実な人だなぁ。
「小辺田さん達は今帰り?」
「うん、優衣とそこのパンケーキ屋さんに行ってたんだ。滝沢くんは?」
「僕は、友達の家にDVDを借りに行ってきた帰り。」
「そうなんだ。滝沢くんってどんな映画を観るの?」
「基本的にはなんでも観るけど、そうだなぁ…サスペンスが多いかな。」
「私もサスペンス好きだよ。サスペンスっていえばーーー」
他愛も無い話しをしながら、しばらく三
人で歩いていると急に優衣が立ち止まって
「あの…これから私、友達と約束してて一緒に帰れないの。悪いけど滝沢くん、葵を家まで送ってくれないかなぁ?」
両手を顔の前で可愛く合わせて、滝沢くんにお願いしている。
「へっ⁈ちょっと待って優衣、何言ってるの?私一人で大丈夫だよっ。」
私は慌てて優衣の合わさった手を下ろそうと、優衣の手を握る。
「そうだね、もう暗いし。僕で良かったら家まで送るよ。」
嫌な顔ひとつしないで、ニッコリと笑って返事をする滝沢くん。
「うわっ助かるぅ。ありがとう、滝沢くん。」
優衣が私の手をパシッと軽く叩いてから振りほどき、滝沢くんにお礼を言っている。
パシッって… 痛いよ…優衣。
「桂さんは大丈夫?」
「うんっ、大丈夫。男友達も一緒だからその人に送ってもらうよ。じゃあ、私、行くねぇ。また明日ね、葵。」
と言って優衣は、元気にバイバイと手を振って走って行ってしまった。
嘘でしょ…。
いきなり二人っきりだなんて耐えれないよっ///
どうしたらいいのよーっっ‼︎
「じゃ、行こっか。あれ?どうしたの、大丈夫?小辺田さん。」
「だ、大丈夫。ヨロシクお願いします///。」
優衣のやつ絶対ワザとだ。
友達と約束なんて、ひと言も言ってなかったじゃん。
♪♪♪♪♪〜
LIMEの着信音が鳴り、私は鞄のポケットからスマホを取り出して確認する。
あ…優衣からだ。
【 どうだった?私のアシスト。滝沢王子と楽しく下校デートしてね。お礼は苺ミルクでいいよ。】
なんて内容のメールだった。
やっぱりワザとか…。
仕方ない、明日は優衣に苺ミルクを買ってやるか。
でも、いきなり2人っきりなんて緊張するよっ///
「それにしても、桂さんってフレンドリーだね。初対面だとは思えなかったよ。」
ニコニコといつも通りの笑顔の滝沢くん。
緊張してるのは、やっぱり私だけか…
そう思うと、なんだか私だけバカみたいだな。
リラックス、リラックス。
「だよね。私も知り合ったばかりなのに、もう何年も前からの友達って感じだもん。」
「…僕の友達にもあのフレンドリーさを分けてあげてほしいよ。」
滝沢くんが、ふぅ…と暗くなった空を見上げながら溜め息をついた。
「お友達は人見知りする人なの?」
「う〜ん…人見知りというか…女の子が苦手みたいなんだよね。」
苦笑いをする滝沢くん。
「 そのお友達、過去に何か嫌な思いでもしたのかなぁ?」
「どうだろね。その人、僕の幼なじみなんだけど…たぶんモテ過ぎが原因だと思うんだよね。」
滝沢くんにモテ過ぎって言われるその幼なじみって、一体どんだけイケメンだ⁈
その後も滝沢くんと話しをしながら帰ったが、緊張しすぎて余り覚えてないという残念なことをしてしまった。
「ん〜美味しい〜。」
優衣が苺やブルーベリー、生クリームがいっぱいのったパンケーキを頬張っている。
小さな唇にクリームなんかつけちゃって可愛い///
甘いものがあまり得意ではない私は、とってもシンプルなパンケーキを食べていた。
こういうところが女子力に欠けるのかも知れないな…。
私たちは学校の帰りに、最近できたパンケーキのお店に来ている。
お店の中はウッドテイストな内装で、観葉植物がたくさん置いてあり、白いふかふかのソファーにお洒落なクッションもあって、とても素敵だった。
「ふぅ…。」
優衣がロイヤルミルクティーを一口飲んでから、カップをテーブルに置き話し始める。
「それにしても、今日の滝沢王子の頭ポンポンは胸キュンでしたねぇ。」
ニヤニヤとしながら私をじっと見てくる優衣。
「見られてたんだ///ってか優衣は滝沢くんのこと知ってるの?」
「もちろん知ってるよぉ。有名人だもん。知らなかった葵の方が珍しいよ。」
「そうなんだ…。た、滝沢くんって凄くいい人だよね///滝沢くんの彼女って幸せだろうね。」
「葵さぁ。」
優衣のニヤニヤ顔がさっきより増しているのは気のせいだろうか?
「な、なに?」
「さてはぁ…滝沢王子に恋しちゃいましたね。」
ふふっと笑いながら両手で頬杖をつき、私を上目遣いで見ている。
「そ、そ、そんなことっ/////」
「葵ってば可愛い。顔が真っ赤だよ。」
「う〜…からかわないでよ、優衣〜。」
「ごめん、ごめん。あまりに可愛いからぁ。」
ペロッと舌を出してウィンクする優衣。
そんな仕草をする優衣の方がメチャ可愛いよっ///
「滝沢王子は、たぶんフリーだよ。ーーてか彼女がいるって話し全く聞かないなぁ。誰が告っても断ってるみたいだよ。」
パンケーキをパクッと食べながら優衣が言った。
そっか。
滝沢くん、彼女いないんだ。
良かった…
ーーって私なんて、滝沢くんが相手するわけないじゃんっ。
なに彼女がいない事にホッとしてるんだ私っ///
「あははっ、葵ってわかりやすいね。私、王子とのこと応援するから頑張ってね。」
優衣がニコニコとても楽しそうに、私にピースサインを送る。
今まで友達と恋バナなんてした事がなかったから、なんだかくすぐったいな///
私達はパンケーキを食べ終わっても話が盛り上がってしまい、気がつけば外が暗くなりかけていた。
「ヤバイっ、もうこんな時間⁈」
店内の時計を見てびっくりした。
いつもなら夕飯の支度をしている時間だった。
優衣といるのが楽しすぎて、時間の感覚がなくなってたみたい…。
「え?葵ぃ、この後なにか予定があったの?」
「ううん、予定っていうか…。ウチ父子家庭でさ家事全般は私がしてるんだ。」
「うそっ⁈ごめんねぇ。お喋りしすぎたね。」
と言って優衣は申し訳なさそうにしている。
「いやいや、私も楽しかったしっ。優衣が謝ることじゃないよ。」
私がグッと親指を立てニカッと笑うと、優衣も同じように笑ってグッと親指を立てた。
私達がお会計を済ましてお店を出ると、空は薄暗くなっていて、少し肌寒い風が吹いていた。
メイン道路やお店に街灯がつき、街がキラキラとし始める。
私がそんな綺麗な街に不釣り合いな、今日の晩ご飯のことを考えていると
「あっっっ‼︎」
と優衣が突然、大きな声を出し私の腕を引っ張った。
「な、なに⁇優衣、どうしたの⁇」
「あれってぇ…。」
と優衣は目を凝らしジッと一点を見つめている。
優衣が何を見ているのか気になって、私もその視線の先を辿った。
あっ⁈
滝沢くん…だ…
彼はやっぱりキラキラとしていて、制服なのに周りの人の視線を惹きつけている。
女子高生だけじゃなく、OLのお姉さん達の熱い視線までも集めていた。
「行くよぉっ、葵っ!」
「えっ⁇ちょ、ちょっと待って優衣っ。どこ行くの⁇」
優衣が私の腕を引っ張って、スイスイと器用に人の波をすり抜けてく。
私は訳がわからないまま、優衣に引っ張られ後をついて行った。
「滝沢くぅん。」
優衣が大きく手を振りながら、滝沢くんに声をかけた。
「えっ⁈滝沢くんと知り合いなの?」
「ううん、初対面だよぉ。」
とニコッと微笑む優衣。
… マジか⁇
初対面の相手に…しかも芸能人級のイケメンにいきなり声をかけちゃうなんて…
優衣って……スゴイ…。
突然、街中で知らない女の子に大声で呼ばれ、キョトンとしている滝沢くんだったが、後ろに私の姿を見つけてホッとしたみたいだった。
「初めましてぇ、私、葵の友達で桂 優衣って言います。ヨロシクね。」
ニコニコと超可愛い笑顔で、滝沢くんに自己紹介をする優衣。
「滝沢 涼介です。こちらこそ、ヨロシク。」
少し戸惑いながらも、キチンと自己紹介をしてくれる滝沢くんって誠実な人だなぁ。
「小辺田さん達は今帰り?」
「うん、優衣とそこのパンケーキ屋さんに行ってたんだ。滝沢くんは?」
「僕は、友達の家にDVDを借りに行ってきた帰り。」
「そうなんだ。滝沢くんってどんな映画を観るの?」
「基本的にはなんでも観るけど、そうだなぁ…サスペンスが多いかな。」
「私もサスペンス好きだよ。サスペンスっていえばーーー」
他愛も無い話しをしながら、しばらく三
人で歩いていると急に優衣が立ち止まって
「あの…これから私、友達と約束してて一緒に帰れないの。悪いけど滝沢くん、葵を家まで送ってくれないかなぁ?」
両手を顔の前で可愛く合わせて、滝沢くんにお願いしている。
「へっ⁈ちょっと待って優衣、何言ってるの?私一人で大丈夫だよっ。」
私は慌てて優衣の合わさった手を下ろそうと、優衣の手を握る。
「そうだね、もう暗いし。僕で良かったら家まで送るよ。」
嫌な顔ひとつしないで、ニッコリと笑って返事をする滝沢くん。
「うわっ助かるぅ。ありがとう、滝沢くん。」
優衣が私の手をパシッと軽く叩いてから振りほどき、滝沢くんにお礼を言っている。
パシッって… 痛いよ…優衣。
「桂さんは大丈夫?」
「うんっ、大丈夫。男友達も一緒だからその人に送ってもらうよ。じゃあ、私、行くねぇ。また明日ね、葵。」
と言って優衣は、元気にバイバイと手を振って走って行ってしまった。
嘘でしょ…。
いきなり二人っきりだなんて耐えれないよっ///
どうしたらいいのよーっっ‼︎
「じゃ、行こっか。あれ?どうしたの、大丈夫?小辺田さん。」
「だ、大丈夫。ヨロシクお願いします///。」
優衣のやつ絶対ワザとだ。
友達と約束なんて、ひと言も言ってなかったじゃん。
♪♪♪♪♪〜
LIMEの着信音が鳴り、私は鞄のポケットからスマホを取り出して確認する。
あ…優衣からだ。
【 どうだった?私のアシスト。滝沢王子と楽しく下校デートしてね。お礼は苺ミルクでいいよ。】
なんて内容のメールだった。
やっぱりワザとか…。
仕方ない、明日は優衣に苺ミルクを買ってやるか。
でも、いきなり2人っきりなんて緊張するよっ///
「それにしても、桂さんってフレンドリーだね。初対面だとは思えなかったよ。」
ニコニコといつも通りの笑顔の滝沢くん。
緊張してるのは、やっぱり私だけか…
そう思うと、なんだか私だけバカみたいだな。
リラックス、リラックス。
「だよね。私も知り合ったばかりなのに、もう何年も前からの友達って感じだもん。」
「…僕の友達にもあのフレンドリーさを分けてあげてほしいよ。」
滝沢くんが、ふぅ…と暗くなった空を見上げながら溜め息をついた。
「お友達は人見知りする人なの?」
「う〜ん…人見知りというか…女の子が苦手みたいなんだよね。」
苦笑いをする滝沢くん。
「 そのお友達、過去に何か嫌な思いでもしたのかなぁ?」
「どうだろね。その人、僕の幼なじみなんだけど…たぶんモテ過ぎが原因だと思うんだよね。」
滝沢くんにモテ過ぎって言われるその幼なじみって、一体どんだけイケメンだ⁈
その後も滝沢くんと話しをしながら帰ったが、緊張しすぎて余り覚えてないという残念なことをしてしまった。