オオカミくんと子ブタちゃん
*****
「おはよう」と元気な挨拶が飛び交う
学校の昇降口…。
ローファーからスリッパへと履き替え、皆んなペタペタと音を鳴らしながら廊下や階段を上っていく。
ウチの学校は上靴ではなくスリッパなんだ。
どうしてスリッパなのかっていうと、廊下を走ったり、上靴の後ろを踏んだりさせない為なんだって…。
私はスリッパを出そうと靴箱に手を掛ける。
その時…
外からキャーキャーと黄色い声が聞こえてきた。
あの黄色い声と共にやってくる人って…
アイツだよね?きっと……。
確かめようと入り口に視線を移すと、予想通り大賀見の姿。
風に揺られるサラサラの髪
少し多めに開けたシャツに緩く絞められたネクタイ。
腰の辺りで履かれたズボン。
だらしなく着崩された制服も、彼が着るとオシャレに見えてしまう。
今日も周りの視線など全く無視の大賀見が、靴箱を開けるとヒラヒラと手紙が床へと落ちた。
あれってラブレターだよね?
入学してまだ日も浅いのに…すごいな。
「なに?」
私の視線に気付いた大賀見が不機嫌そうにこっちを見た。
「べ、別に…。」
見ていた事に気付かれて、慌てて自分の靴箱へと視線を戻し扉を開ける。
トンッ…
え?
音がした方に目をやると、靴箱の扉を開けた私の手のすぐ横にスラッとした指の大きな手があった。
反対側を見ると大賀見の綺麗な顔がすぐ近くにあり、私の靴箱の中を覗いている。
なっ⁈
近いっ///‼︎
「な、なに⁇」
驚きすぎて声がうわずる。
私の反応なんて全く気にしない大賀見は、馬鹿にしたように鼻で笑って
「フッ…子ブタの靴箱には何も入ってねぇな。」
と独り言を言ってから背を向け、ラブレターをビリビリと破り、階段下にあるゴミ箱へと捨てた。
「ちょっと、何してるのよっ!」
酷いよっ。
一所懸命に書いた手紙を見ずに破り捨てるなんてっ!
怒りで身体が熱くなる。
階段を上ろうとした大賀見が振り返り、また不機嫌そうな顔で
「知らない奴から手紙もらっても、気持ち悪りぃだけだろ。」
と言って怠そうに階段を上って行く。
なんなのアイツっ。
滝沢くんの爪の垢でも煎じてもらえっつーのっ。
でも…まぁ……
知らない人から手紙もらってばかりだと、そういう気持ちにもなるのも分かる気がする…カナ?
ちょっとだけね…。
っっって⁈
「こっ子ブタって言うなー‼︎」
危うく聞き流すところだったっ。
私が大きな声で大賀見に言うと、大賀見はケラケラと笑いながら階段を上って行ってしまった。
「おはよう」と元気な挨拶が飛び交う
学校の昇降口…。
ローファーからスリッパへと履き替え、皆んなペタペタと音を鳴らしながら廊下や階段を上っていく。
ウチの学校は上靴ではなくスリッパなんだ。
どうしてスリッパなのかっていうと、廊下を走ったり、上靴の後ろを踏んだりさせない為なんだって…。
私はスリッパを出そうと靴箱に手を掛ける。
その時…
外からキャーキャーと黄色い声が聞こえてきた。
あの黄色い声と共にやってくる人って…
アイツだよね?きっと……。
確かめようと入り口に視線を移すと、予想通り大賀見の姿。
風に揺られるサラサラの髪
少し多めに開けたシャツに緩く絞められたネクタイ。
腰の辺りで履かれたズボン。
だらしなく着崩された制服も、彼が着るとオシャレに見えてしまう。
今日も周りの視線など全く無視の大賀見が、靴箱を開けるとヒラヒラと手紙が床へと落ちた。
あれってラブレターだよね?
入学してまだ日も浅いのに…すごいな。
「なに?」
私の視線に気付いた大賀見が不機嫌そうにこっちを見た。
「べ、別に…。」
見ていた事に気付かれて、慌てて自分の靴箱へと視線を戻し扉を開ける。
トンッ…
え?
音がした方に目をやると、靴箱の扉を開けた私の手のすぐ横にスラッとした指の大きな手があった。
反対側を見ると大賀見の綺麗な顔がすぐ近くにあり、私の靴箱の中を覗いている。
なっ⁈
近いっ///‼︎
「な、なに⁇」
驚きすぎて声がうわずる。
私の反応なんて全く気にしない大賀見は、馬鹿にしたように鼻で笑って
「フッ…子ブタの靴箱には何も入ってねぇな。」
と独り言を言ってから背を向け、ラブレターをビリビリと破り、階段下にあるゴミ箱へと捨てた。
「ちょっと、何してるのよっ!」
酷いよっ。
一所懸命に書いた手紙を見ずに破り捨てるなんてっ!
怒りで身体が熱くなる。
階段を上ろうとした大賀見が振り返り、また不機嫌そうな顔で
「知らない奴から手紙もらっても、気持ち悪りぃだけだろ。」
と言って怠そうに階段を上って行く。
なんなのアイツっ。
滝沢くんの爪の垢でも煎じてもらえっつーのっ。
でも…まぁ……
知らない人から手紙もらってばかりだと、そういう気持ちにもなるのも分かる気がする…カナ?
ちょっとだけね…。
っっって⁈
「こっ子ブタって言うなー‼︎」
危うく聞き流すところだったっ。
私が大きな声で大賀見に言うと、大賀見はケラケラと笑いながら階段を上って行ってしまった。