川に流るる紅い毛の…

狼は、ニヤニヤと笑いながら歩を進める。

気迫に押されるように子狐は足を引きずりながら走る。

こんな体じゃあ…あまり逃げれないかもしれない…だけど…狼にだけは……

子狐は必死に足を引きずりながら走ったが、とうとう崖の淵まで来てしまった。

狼はニタニタしながら近づいて来た。余程お腹が減っているのか、涎をピタリ、ピタリと垂らしている。

落ちるか…喰われるか…だ…。

子狐は暫く考えた。考えている間にも無情に時は流れ、ついには目の前まで狼が迫っていた。

「さぁ…そろそろおねんねの時間だよ、坊や」

残念だったね!狼さん!僕は…僕の選んだ道は……

「おい…!!!??」

狼の目の前に、子狐はいなかった。
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