川に流るる紅い毛の…
子狐様豊穣伝説ー喜の章ー
それからというもの、子狐は健気に働いた。例え雨が降ろうと、雪が降ろうと。
やがて村人に認められ、豊穣神子狐様と呼ばれても子狐は働き続けた。
だが、彼は苦しいとは思わなかった。
なぜなら、働いた分だけ老人と村人は褒めてくれた。そして何よりも嬉しかったのが…
「子狐様、あんたのおかげでおいら変われたような気がするよ…!」
「子狐様、もう…アタシ達は狩りをしなくてよくなったんだね…ありがとうよ、子狐様」
というような村人の感謝の言葉がとても嬉しかったのだ。
このような日々が、ずっと続くはずだと…
子狐は思っていた……そう、子狐はあの晩のことなど忘れてしまっていたのだった。