呪いのメール
「おはよー」
私が窓の外を眺めていると、教室の後ろの方から声がした。
振り向かなくても分かる。翔だ。
「おはよっ!」
私は立ち上がり、待ってましたとばかりに満面の笑みでそう言った。
「おう・・・。ってお前、気づいてなかったのか?
昨日、ケータイ俺んちに忘れてったろ」
「えっ!?」
慌てて鞄の中を漁る。
「あ、ほんとだ・・・」
全然気づいてなかった。
「はぁ・・・まーお前らしくていいけどな」
「ごめんごめんっ。ありがとねっ」
両手を合わせ、ぺろっと舌を出す。
そんな私達を見て、クラスメイトが言った。
「美香と翔くんってば、ホントに仲いいよね~っ」
「ラブラブでうらやましいよぉ」
私は嫌な顔一つせず、
「えへへっ、でしょでしょ~っ」
と笑って答える。
隣の翔の顔をちらっと見ると、頬を赤く染めて、満更でもなさげな表情だ。
これは、小学校のような冷やかしとは違う。
だって私達は、クラスメイト公認の、ラブラブカップルなんだから。
「あれっ、00ってば、来てたの?
そんなとこに突っ立ってないで、こっちおいでよ」
後ろを向いていたクラスメイトの声に私達が振り向くと、さっき翔が入ってきたドアの前で立ち止まっている00と目があった。
00は、はっと我に返ったような表情になると、
「あ、お、おはよ・・・」
と、なんだかぎこちない返事をして、私の方を見ようともせずに席に座った。