オランジェット

次の日の朝、珍しくすっきり起きれたのはカーテンから差し込む光で起こされたせいなのか


それとも、今日が入学式で胸が高鳴っているからなのか


どちらかは分からないけれど、気分がいいのだけは確かだった。


「さっ!着替えなきゃ」


軽く洗顔を済ませ、パンを一口かじってシャツに袖を通す。


少し冷たいそれは気を引き締めるのに十分だった。


「さすがにスーツ着ると背筋が伸びるわ」


普段の猫背が嘘のようだ。


しゃんと胸を張り、必要書類を鞄に詰めて少しだけ高いヒールを履く。



「‥いってきます」


小さく呟いて、玄関のドアを開ければ眩しい光と少しの肌寒さを感じた。


‥少し寒い‥


ヒートテック着とけばよかったなぁ


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