笑顔のチカラ~笑う門には福来る~
目を開けると、目の前には空があった。
「勇生!大丈夫か?」
「あぁ」
どうやらオレは、後ろからユニフォームを引っ張られて倒れたらしい。
引っ張ったのは、ずっとまとわりついてきたのっぽ野郎。
自分からまとわりついておきながら、なに卑怯なことやってるんだよ。
「立てるか?」
「サンキュ・・・っ!」
右足首に鋭い痛みがはしった。
再びオレはその場にしゃがみこんだ。
ヤバ・・・ッ
「どうした?」
あ~あ。
審判が来ちゃった。
「ちょっと見せてくれ」
「痛っ!」
「腫れてるな・・・
監督さん、この子、捻挫してるみたいなんですけど」
監督は足を見たあと、オレの目をしっかり見て言った。
「勇生、お前はよくやってくれた。
しばらく休んでろ」
えっ・・・・・・!
ウソだろ・・・
「監督、オレ大丈夫です。
こんなの全然痛くないし。だから・・・」
「勇生!」
監督の声に、ビクッとした。
「無理して、もっと酷くなったらどうする。
お前にならわかるだろ?」
「・・・・・・」
答えられなかった。
わかるよ。
無理して、怪我が酷くなって・・・
何度も監督や、仲間に迷惑かけた。
無理して、自分の体調よりサッカーを優先して・・・
倒れて、笑美を泣かせた。