笑顔のチカラ~笑う門には福来る~
治ってない・・・
あんなに苦しい治療したのに!?
ふざけんなよ。
なんのために治療したんだよ。
治らなかったら意味ないじゃん!
何なんだよ・・・
ホントにさ、バカみたいじゃん。
治ると信じて今まで2週間我慢したのに・・・
みんなに、修学旅行までには帰ってくるって言ったのに・・・
約束、守れないよ・・・
「お兄ちゃん・・・?」
笑美、お前にも辛い思いさせたな。
夜中もずっとオレに付き添ってくれて、苦しいときには背中をさすってくれたな。
本当に、ありがたかった。
だからもう、迷惑はかけられないよ・・・
「お兄ちゃん、まさか、諦めてないよね?」
「えっ・・・?」
「もう、治療しないとか思ってないよね?」
何でわかるんだ・・・?
オレの気持ち・・・
「諦めてるの?」
「だって、もうお前に迷惑はかけられないよ」
「・・・・・・!」
笑美の目が大きく見開かれた。
でも、先生も言ってただろ?
この次の治療は、誰かの手を借りないと色んなことができなくなるって。
それ、笑美の手を借りないといけないってことじゃん。
もう、ダメだよ。
これ以上、お前に負担をかけたくないよ。
「お兄ちゃん、私が迷惑だなんて思ってると思う?」
「思わないよ。お前は優しいから、オレが治療したいって言ったら、わかったって協力してくれるよな」
「そうだよ。私は、お兄ちゃんを応援する。
だから、お兄ちゃんが決めたことには反対しない」
「だからオレは・・・」
「でも、今回は違う!」
だからオレは嫌なんだ。
そう言おうとしたオレの言葉を遮って、はっきりと笑美は言った。
「私が犠牲になるのは別にいいの。
私の頭の中は、お兄ちゃんのことでいっぱいなんだから。
だけど、お兄ちゃんが自分を犠牲にする必要はない!
言ったよね。無理に自分の感情を抑え込まないでって。
本当は、修学旅行行きたいんでしょ?
いち早く元気になって、サッカーしたいんでしょ!?
お兄ちゃん・・・自分にウソをつかないで。
私に迷惑かけるとか思うんだったら、治療しないんじゃなくて、治療して、早く元気になってよ!」
気がつけば、オレの目から熱いものが込み上げてきていた。
「お兄ちゃん、お願い・・・諦めないで・・・」
笑美も、泣いていた。
「ごめん・・・笑美、オレ、治療する。
早く元気になるよ・・・だから、泣かないで」
「お兄ちゃんだって泣いてるじゃん!
よかった・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・!」
ごめんな。
いつも、泣かせてばかりで。
でも・・・
ありがとう。