笑顔のチカラ~笑う門には福来る~
────1週間後────
修学旅行、行けるかな…?
なんでオレばかり、こんなことになるんだろう。
「勇生どうした?元気ないな?」
「大樹…」
そうだった。
今オレ、学校にいるんだった。
「楽しみだなぁ、修学旅行!
勇生も無事に帰ってきたし、オレと勇生と真琴と大輔。
4人でいっぱい遊ぼうぜ!
沖縄行くぞー!」
大樹の無邪気な笑顔を見て、胸が苦しくなる。
大樹は、オレが治って戻ってきたと思っている。
修学旅行に行けないかもしれないって…
白血病はまだ治ってないって言ったら…
どんな顔をするだろう。
「……っ!?」
やばっ、倒れる…!
「勇生!?」
なんとか踏ん張って、膝をつくだけで済んだ。
「大丈夫、ちょっとめまいがしただけ…」
「お兄ちゃん!」
ちょうど、笑美がオレを見つけて駆け寄ってきた。
友達の加奈ちゃんも一緒だ。
「笑美…薬、持ってる?」
「あるよ。大丈夫?保健室行こうか?」
「いや、薬飲めば治るから」
「薬って…勇生、お前……」
オレたちのやり取りを見ていた大樹は、案の定、今の状況を読めないでいる。
もう、話すしかない。
「ごめん、まだ治ってない。
あとでみんなにも話すけど…オレ、修学旅行にも行けるかわからないんだ」
大樹の顔がこわばった。
「嘘だろ…?」
その問いに、答えてやれなかった。
「はぁっ?嘘だろ……!」
「あ、大樹!……っ!」
追いかけられなかった。
すごい勢いでどこかへ走って行ってしまった大樹。
くそっ…なんでこんな体になっちまったんだよ…
大樹、どこ行ったんだ。