笑顔のチカラ~笑う門には福来る~


んーーー!


やっぱり外はいいな。


おっ、サッカーしてる。


「パスパス!…あ、どこ蹴ってんだよ~」


オレの足元にボールが転がってきた。


小さいな~


4号球だから、まだ小学生か。


「すみませ~ん!
ボール取ってください!」


車イスから降りて、ボールを手に取った。


「いくぞ~!」


ボールを持ったら、反射的に体が動いた。


「おぉ~!兄ちゃんすげぇ!」


久しぶりに蹴ったボールは、上手く男の子の手の中に入った。


でも・・・


バタッ!


「兄ちゃん!?」


カッコわりぃ・・・


カッコつけたあとに倒れるなんて。


「大丈夫?」


「僕たちが乗せてあげるよ。せーの!」


「うわぁ、兄ちゃん軽っ!」


小学生3人に助けられちゃった。


軽いのは、ご飯を食べてないからだな。


食べたとしても、どうせ吐くし。


「お兄ちゃん?
何してんの、こんなとこで」


「・・・笑美!何でここに?」

家にいるはずの笑美が、オレたちのそばに駆け寄ってきた。


「あぁ、それはあとで話すよ。
っていうか、今、倒れてたでしょ?」


見られてたか・・・


「みんなありがとう。
お兄ちゃんを助けてくれて」


「ううん。兄ちゃんすごかったよ!
車イスなのにあんなに綺麗に蹴れるなんて。
ねぇ、今度教えて?」


「おい隼人、無理言うなよ」



「いいよ。体調がよかったらだけど。
あ、オレの名前は春野勇生。で・・・」


「妹の笑美です。よろしくね」


出た!


笑美のふんわりスマイル!


この笑顔を見た男は・・・


「うわぁ、かわいい・・・」


ほら、すぐニヤける。


笑美の笑顔は優しいからな。

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