笑顔のチカラ~笑う門には福来る~
「海斗!」
2階の小児病棟にある海斗の部屋に入った。
……なんだ、管なんか繋がれてないじゃん。
ただ、寝てるだけじゃん。
「・・・あなたが、勇生くん?」
若い女の人が、オレのそばに来た。
「あなたが、海斗にサッカーを教えてくれていたお兄さんね・・・?」
「あ、はい」
「本当に、ありがとう・・・」
この人の涙を見たとき、実感したんだ。
もう、海斗はいない・・・
でも、やっぱり信じられなくて・・・
「海斗、なぁ起きろよ。
早くしないと1時間経つぞ。
海斗・・・今日はちゃんと外で・・・」
手を握ると、もう冷たくて・・・
涙が込み上げてきて・・・
「海斗!早く元気になって、サッカーするんだろ?
全国大会に行くって言ったじゃねぇか!
海斗・・・なぁ、海斗・・・!」
海斗のお母さんも、隼人も、俊も泣きじゃくって。
笑美も、オレの背中に顔をつけて声を押し殺して泣いていた。