癒えない傷


「永田ーー!!!」

風原は一度呼んだが
追いかけては来なかった。

あたし…なに期待してんの…?


ー祐Sideー



「永田ーー!!!」

一度叫んでみた。


でも 追いかける事は出来なかった。


永田は行ってしまった。




「千尋…?」

息を切らして永田の姉が来た。


「千尋…どうしたの?」


「俺もよく…分かんねぇ。」


「あんた 千尋に何したの?」

いつになく真剣な眼差しが
俺を責める。


「千尋はね…?
大事な人に裏切られて
傷が癒えてないの。」


「え…?」


「しかもその人は…
駆け落ちして 亡くなったの

だからね

あの子が好きなら待ってあげて?
“恋なんてしない”いつも言ってるの。

あたしはまた恋して欲しいの。
その方があの子にとって
いいから。

さっきはごめんなさい。

怒鳴ったりして」


「いや…こっちこそごめん
ってか俺があいつを好きに見える?」


「うん…だって構いすぎでしょ?
保健室…

カッコよかったわよ?」


「は…?どうやって見てたんだよ…?」

「さぁ?」
永田の姉は笑いながら
教室に戻って行った。


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