癒えない傷



「風原は
東京から家の都合で
転校してきた。

どこの席が空いてる?」

女子は全員挙手をした。


勿論あたし以外。


「おめぇらな 隣居んだろ?」

坂田は笑う。


ん…?
一人席と言えば…


一人席と言えば…



あ…あたしだ…。


みんなの目が
あたしに向けられる。


「っじゃあ風原はちひ…「嫌です」


「「え?」」

またみんなあたしを見る。


風原とかいうヤツも見てくる。


「せんせ…ちょっと説得してきます」

風原はそう言い捨て
あたしの前に来て
教室を出た。


「へ…?
ちょっと待ってよ!
何説得って…」

引っ張られた手が痛い。


廊下に連れていかれた
と思ったら
壁に押し付けた。


「おめぇさ嘗めてんの?
俺に恥かかせたい?」


第一印象 最悪

出会い 最悪

性格 最悪


こんなヤツに…


こんなヤツに恋をするなんて思わなかった。



「あ…あんた何?
転校生のクセに調子のんな…やっ!んッ…」


風原が…


キスしてきた。


初じゃない。
嫌。“あの人”の記憶が
消えそうで

「最低!!」
バシンっ


風原をビンタして
教室に戻った。



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