癒えない傷
ー裕菜sideー
「ねぇ…千尋…」
「ん?」
夜。
二段ベッドで
上が千尋。
下があたしで使っている。
「千尋は好きな人…いないの?」
ちょっと苦しかった。
あたしは気づいてる
千尋は風原を気になっている。
あたしも…
でも…妹の為にも
この気持ちを抑えたい。
千尋の素直な意見を聞けば
あたしは諦められると思ったから。
「………」
「千尋…?」
「うん…
あたしは…
あたしは…
いない…よ?」
あたしは全身の力が抜けてしまった。
「あんた…嘘ついてない?」
「え…?」
「風原…好きなんじゃないの?」
「え……その…あの…」
「長谷部なんか忘れなよ!
風原が…好きなんでしょ?」
「……裕菜っ「あたし…
取っちゃうよ?」
「え?」