癒えない傷
次の日。
「おっす!祐!」
「祐くんだ~♪」
すっかり風原はクラスに溶け込んでいた。
1学期からいるあたしですら
まだ溶け込んでないのに。
なんだか不愉快なあたしは席を立ち裕菜の所へ行く。
「あ!千尋!
なんで朝置いてったの!」
「え…?
うそ…あたし置いてった?」
「うん スタスタ出てったじゃん…」
「……」
「千尋熱でもあんの?」
裕菜は額を触る
「ない!ない!
じゃ…じゃあね!」
あたしは裕菜がうるさいから
教室を出た。
「あたし…朝何してたっけ?」
廊下で立ち止まった。
「啓…」
思い出すのは啓のこと。
ねぇ なんで置いてったの
あたしは……好きだった。
も…もぅ…
意識が遠くなる。
なに…?あたし…倒れそう…
倒れる寸前。
なぜか暖かかった。
「千尋…」
優しい声であたしを呼んでいる声もした。