振り返れば、こおりみち(アスペルガー症候群)
障害物のなくなった世界で、私は
雪も氷も降らなくなった。
時々しとしとと降る雨も、すぐにやんで空は晴れ渡る。
今まで落ちることのなかった雷が、最近では少しの刺激で大きな音をたてて落ちることもある。
さて、今日の私の心の天気は、一体どうなるだろうか。
予測は不明、ただ澄み渡る青空を見ていたい。
のんびりと、今はのんびりと、焦らず過去の疲れを癒す時間が必要なのである。
私は、『リン』と名乗るけれども、今、障害と共に生きている。
幼いころから障害と知らずに生きてきた。
それはそれは苦しかった。
一般の人についていくのが精いっぱいで、まるで溺れているような感覚だった。
もがいてももがいても水面から上には上がれない。
支えがあって初めてゆっくりと息が吸えた。
そして長い時間をかけて、水上に上がることが出来ないのだと認識した。
悲しみはなかった。
ただ、あぁそうだったのかと納得して、安心した。
そして水面下で生きる決心をしたのである。
のびのびと、ふわふわと、自由に泳げる水面下を受け入れた。
< 1 / 8 >