振り返れば、こおりみち(アスペルガー症候群)
障害物のなくなった世界で、私は


雪も氷も降らなくなった。

時々しとしとと降る雨も、すぐにやんで空は晴れ渡る。

今まで落ちることのなかった雷が、最近では少しの刺激で大きな音をたてて落ちることもある。



さて、今日の私の心の天気は、一体どうなるだろうか。

予測は不明、ただ澄み渡る青空を見ていたい。

のんびりと、今はのんびりと、焦らず過去の疲れを癒す時間が必要なのである。





私は、『リン』と名乗るけれども、今、障害と共に生きている。

幼いころから障害と知らずに生きてきた。

それはそれは苦しかった。

一般の人についていくのが精いっぱいで、まるで溺れているような感覚だった。



もがいてももがいても水面から上には上がれない。

支えがあって初めてゆっくりと息が吸えた。

そして長い時間をかけて、水上に上がることが出来ないのだと認識した。



悲しみはなかった。

ただ、あぁそうだったのかと納得して、安心した。

そして水面下で生きる決心をしたのである。



のびのびと、ふわふわと、自由に泳げる水面下を受け入れた。
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