月を見上げる吸血鬼 完結

そこはよくあるマンション。

彼女が風邪で寝込んでいると管理人に嘘をつき通してもらうことが出来た。

彼女の部屋は3階の1番奥の部屋。

鍵は締まっていなかったので入っていった。

物音が一つもしない。玄関には彼女と会った最後の日に履いていた、靴が転がっていた。

いつも靴はキチンと揃える彼女からは想像できない。

そして玄関から伸びた廊下には、同じよに無造作にコートが落ちていた。

女の子の一人暮らしには少し大きい家だった。

いくつかある部屋の銀色で凝った装飾のドアノブに妙に惹かれた。

ここに彼女が居ると本能的に感じた。


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