月を見上げる吸血鬼 完結

ガチャ

そっとドアを開くと暗い空間だった。

ベッドも黒、置かれるものも黒だった。

その部屋だけが異質だ。

そして黒いベッドに沈む白い顔をした彼女。

ずっと探していた子がいた。

「あす!」

いつも呼ぶより焦った声。やはりいつもの明るい声が聞こえなかった。

ベッドに横たわる彼女のそばに行き肩を起こすように引き寄せた。

「あす?お願いだから、起きて」

まだ浅く感じる吐息。
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